最近、冷暖房方式(特に暖房)で「床下エアコン」が流行ってます。
床下エアコンは、1Fの床下空間にエアコン本体を設置して床下全体に空調(温調)された空気を送り込み、居室の室温環境と床下空間の温度環境を近づけることにより、床全体の冷たさを和らげ各部屋(各ゾーン)の室温を限りなく近づけることを目的としたシステムです。
床下エアコンは通常使用する壁掛けエアコン1台で、その効果を発揮するため、省エネが叫ばれている昨今多くの実務者たちが目をつけ始めています。
床下エアコンシステムはいくつかの施工上の条件が存在します。
床下エアコンの計画
① 基礎断熱
床下空間は外部との通気を遮断し居室同様に断熱施工を施します。
② 床下の通風計画
外部からの通気は完全に遮断する必要がありますが、床下全体はより空気が対流するような工夫が必要です。
床下に送風した空気が、より床下全体に広がるような工夫です。
③ 床のスリット計画
床下空間と居住空間の空気環境を同一に整えるために、床にスリットを設けます。
居室だけでなく、トイレや廊下にも設置することにより、どの空間も均一に近い温熱環境が整ってきます。
スリットの数や設置場所など経験値が必要です。
④ エアコンの選定・設置
エアコンは設置する場所により、床下の通風効率が変わってきますので慎重に計画する必要があります。
また合わせてメンテナンス性の考慮も必要です。
この物件では階段下のデッドスペースを床下エアコンの設置場所にしました。
エアコン正面に見える板は脱着可能で、ショートサーキット防止のために計画してますが、フィルターの清掃はこの板を外せば簡単に行えるようになっています。
空間の正面に見える格子状の開口は、エアコンの給気口として機能してます。
エアコンのリモコンもこの位置に計画しました。
床下エアコンの効果を体感
このシステムで約半日エアコンを稼働させて効果を体感してみましたが本当に快適な温熱空間になってました。
1Fのホール・廊下の床は磁気タイル貼りですが、スリッパなしでも全く冷たさを感じません。
明確な暖かさを感じるという感じではなく室内は暑いや寒いをほとんど意識しないという感覚が正しいです。
頭の高さにくる温風も音も感じないこの感覚は、なかなか味わえない感動だと思います。
結露について
さて、この床下エアコンでは「基礎断熱」が絶対条件となりますが、元来住宅建築において、床下の「通風」は非常に大事なことと扱われてきました。
「基礎断熱」はこの「通風」を完全にシャットアウトするので、時期によって結露するのではないかという懸念があります。
これについては、その地域の気象条件や地下水の条件により、各施工業者が様々工夫を施していますが断熱の地域区分で「5」または「6」地域では、地下水が高くなければ、それほど神経を使わなくても大丈夫かと思います。
もちろん、断熱・気密の施工がしっかりしていることが大前提となりますが・・・。
弊社もご入居者のお宅に伺った際に、機会があれば床下の温湿度を測定してみます。
こちらは埼玉県三郷市の物件で、入居後約一年経った8月10日外は雨の状況。
玄関ポーチ付近の温湿度です。
そしてこちらは、洗面脱衣室に計画された床下点検口より床下空間の温湿度です。
真夏の雨という湿度測定に関しては条件が悪い日!?でしたが、外よりも床下の方が温度湿度とも低い値になってます。
さらに床下空間は広い範囲「目視」しましたがサラっとした環境だったことを覚えています。
私の経験上、冬場の過乾燥の対策の方が重要かと感じてます。
基礎断熱工法は、施工から二年くらいはコンクリートに含まれる水分が放出することで、過乾燥は防げるような話も聞きますが、入居後初めて迎える冬で過乾燥を訴えている施主様の声を何度か聞いてきました。
もちろん床下エアコンにしたから過乾燥という現象が起こるわけではありません。
湿度の管理は非常に難しいのですが、より快適な空間を提供していくためにこれからも研究と実証を重ねていきたいと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
冷暖房方式床下エアコンに興味をお持ちの方はお気軽にお問い合わせください。
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