注文住宅の窓!ガラスの種類を解説|アーキ・モーダ

代表の鈴木です。

高気密・高断熱住宅への関心の高まりから、近年サッシ(窓)に対する注目度が上がってきています。

アルミサッシから、アルミ樹脂複合サッシへ、そして樹脂サッシや木製サッシなどバリエーションが増えてきており、住宅会社がどのサッシを選択、推奨しているのかで高気密・高断熱住宅への取り組む姿勢が評価される時代でもあります。

サッシは大まかに「枠(障子)」と「ガラス」で構成されておりますが、アルミや樹脂、木製などは枠の素材のことを指しています。

本日は枠の話ではなく「ガラス」に焦点をあてて、多様化しているガラスの種類をまとめていきたいと思います。

注文住宅のガラスの種類を解説する画像

 

注文住宅で採用されるガラスの種類を解説

 

【単板ガラス】

シングルガラスとも言われ、昔からある一般的なガラスです。

20年以上前はまだまだ多くの建物で標準的に使われておりましたが、さすがに今は新築で単板ガラスのサッシを見かけることはなくなりました。

街のガラス屋さんで簡単に交換可能なのはこの単板(シングル)ガラスだけです。

 

【複層ガラス】

ご存知ペアガラスと言われるガラスで、その名の通りガラスが2重になっています。

「ガラス+空気層+ガラス」という構成になっており、シングルガラスと比較して格段に断熱性能が高まりました。

今はこの複層ガラスが主流となって様々な種類を伴い、時代のスタンダードとなっております。

単板ガラスと違い、街のガラス屋さんでは簡単に修理・交換が不可能です。

 

それでは最近多様化している複層ガラスの種類をまとめてみたいと思います。

 

多様化する複層(ペア)ガラスの種類

 

最初に複層ガラス(ペアガラス)は「ガラス+空気層+ガラス」という構成になっていることはご説明いたしましたが、進化の過程で空気層の厚みが変わってきました。

ペアガラスが登場した当初、空気層の厚みは6mmが一般的でしたが、今は12mmが一般的になっております。

この空気層が厚いと断熱性能が上がるメリットがありますので覚えておいていただければと思います。

今はガラスの厚みやガラスの大きさによって、この空気層は6mm~16mmの範囲で設定され流通しております。(YKKap 2019.07カタログより)

 

空気層にも選択肢がある!?

また空気層には「乾燥空気」か「アルゴンガス」かの選択もあります。

アルゴンガスは熱を伝えにくく空気よりも比重が重い特性がありますので、乾燥空気と比べより断熱効果が高まります。

 

断熱効果が高まるアルゴンガスの画像

断熱効果が高まるアルゴンガス  YKKapのHPより

 

透明(フロート)か不透明(型)か

ガラスの種類には、「透明(フロート)」か「不透明(型)」という選択があります。

こちらは単純にプライバシーの優先度合いで選択すれば大丈夫ですが、よく「明るい方が好みなので透明ガラスを選択!」という声を聞きます。

この選択は時として失敗するケースが少なくありません。

直接日差しが差し込む方位で、カーテンがなくてもプライバシーが確保できる環境であれば良いのですが、常にカーテンがなければプライバシーが確保できない環境で透明ガラスを選んでもその良さを活かすことができません。

かえって型ガラスでカーテンをしない窓の方が明るく感じることもあります。

型ガラス特有の凸凹のガラス表面で光が乱反射することで、ガラスそのものが光って明るく見えるためです。

プライバシー性が高まる型ガラスの画像

YKKapのHPより

 

 

Low-Eガラスの理解を深めよう

さて、近年よく耳にする「Low-Eガラス」について。

Low-Eガラスには「遮熱タイプ」と「断熱タイプ」の2種類があることをご存知でしょうか?

Low-Eガラス(遮熱と断熱)の画像

2種類あるLow-Eガラス

 

高気密・高断熱住宅に力を入れている住宅会社の実務者ならばほとんどの方が知っていると思いますが、ハウスメーカーの営業マンレベルだと知らない人も多いのが現状だと思います。

そもそもLow-Eガラスとは、低放射膜という熱の伝わりを抑える特殊な金属膜をコーティングしたガラスのことです。

2枚のガラスのうち、外側のガラスにコーティングされた複層ガラスは【遮熱Low-Eガラス】、室内側のガラスにコーティングされた複層ガラスは【断熱Low-Eガラス】と分けられております。

遮熱Low-Eを「日射遮蔽型」、断熱Low-Eを「日射取得型」と分類されておりますが、ガラスの日射熱取得率(η値)が0.50以上が日射取得型、0.49以下が日射遮蔽型と区分けされています。

ここでLow-Eガラスの使い分けを説明したいと思います。

遮熱と断熱は季節によって求める性能が変わってきます。

夏期においてはなるべく熱を入れたくない(遮熱)と考えたくなりますし、冬期だと逆に温めた部屋の熱を逃したくない(断熱)と考えたりします。

季節によってガラスの種類を変えたいと思うところですが、Low-Eガラスの使い分けについては1つ答えが出ています。

それは、南に面したガラスは「断熱タイプ」それ以外の方位に面したガラスは「遮熱タイプ」を選ぶという選択です。

南面は思わず「遮熱タイプ」を選択したくなりがちですが、冬の日射取得の効果を優先し「断熱タイプ」を選択するのが正解です。

夏期の日射遮蔽はガラスではなく庇やシェードなどで遮蔽するという考え方がパッシブ設計では常識となっております。

ただし、方位に対して振れることなく綺麗に東西南北に面して建物が配置されることはむしろ稀ですし、隣家の状況において太陽光の影響も個々に異なりますので、Low-Eガラスの特性をよく理解した上で選択、計画する必要があります。

設計士の意識と知識が肝心ですね!

 

防犯ガラス

その他最近関心が高いのが「防犯ガラス」です。

「防犯合せガラス」とも言われますが、防犯フィルムをガラスとガラス挟んでいるもので見た目は1枚のガラスに見えますが、「ガラス+フィルム+ガラス」の3部構成になっております。

防犯合わせガラスの画像

Low-Eガラスと防犯ガラスの併用が可能

 

Low-Eガラスと組み合わせた「防犯合わせ複層ガラス」や合せるガラスの厚みを変えて防音効果を付加した「防犯合わせ(防音)複層ガラス」もあります。

 

風圧に強い強化複層ガラス

その名の通り、同じ厚さの板ガラスに比べて約3〜5倍の耐風圧強度を持ち、衝撃強度にも優れたガラスです。

万が一割れてもガラスが粒状になり、ケガを防ぎます。

強化ガラスの特徴の画像

強化ガラスの特性 YKKapのHPより

 

網入りガラス

都市部に多く指定されている防火、準防火地域においてはベーシックな選択となる編み入りガラスです。

ガラスの中に菱形上に網が内蔵されており、火災時に熱でガラスが割れてもガラスの破片が飛散しないように対策されているガラスです。

 

編み入りガラスの画像

編み入りガラス  YKKapのHPより

 

耐熱強化ガラス

防火の指定がかかる範囲のすべてのガラスは基本的に網入りガラスを使うことが義務付けられておりますが、なんとも鬱陶しい(うっとうしい)ですよね!

そこで網入りガラスに変わるガラスとして出てきたのが「耐熱強化ガラス」というものです。

透明しか選択できませんが、解放感は天地の差がありますので、特にリビングなどに計画されるガラスには採用するケースが増えてきました。

Low-Eガラスとの組み合わせも可能ですが、耐熱強化ガラスは価格が高価なところがネックです。

耐熱強化ガラスの説明画像

耐熱強化ガラス YKKapのHPより

 

他に、防火シャッターと組み合わせることで、防火、準防火地域においてもサッシ及びガラスの制限を受けないという方法もあります。

しかしながらシャッターをつけることが前提となるため、ある程度の大きさと引き違いサッシであることが条件となり計画できる場所も限られますが、網入りガラス仕様の防火サッシよりも価格が安くなること、最近の大型台風などの経験からシャッターの重要性が見直されてきているため、弊社ではよく提案する方法の一つです。

防火、準防火地域で使えるガラスの組み合わせの画像

防火、準防火地域で使えるガラスの組み合わせ

 

 

様々な複層ガラスが存在しておりますが、一般地域と防火、準防火地域では使えるガラスの種類に大きな制限がかかっているために、ガラス選びは複雑化しております。

またサッシメーカーによって、或いはサッシの商品(グレード)によってガラスの設定やラインナップも異なっていることが、住宅会社側の実務者もお客様も混乱してしまう要因となっています。

一つの例として、防火、準防火地域で使用される「網入りガラス」や「耐熱強化ガラス」と「防犯合わせガラス」の組み合わせができるメーカーとサッシのグレードが今のところ限られているという現状があります。

その場合は、後に防犯フィルムをガラスに貼るという方法がありますが、時々以下のような質問を受けますので解説しておきます。

 

網入りガラスや強化ガラスは防犯ガラスと一緒!?

「網入りガラス」や「強化ガラス」と聞くとどれも防犯性が高いガラスのイメージがあるように聞こえますが、防犯性能(ガラスの破られにくさ)で言えば、「防犯ガラス」以外の網入りガラス、強化ガラスは全く防犯性能は持ち合わせておりません。

「網入りガラス」は防火地域で使用される熱によって割れたガラスの飛散防止性能

「強化ガラス」は耐風性能

このように役割がはっきりと分かれています。

網入りガラスの網は意図すれば簡単に切断可能ですし、強化ガラスは尖った先で叩けば簡単に割れます。

強化ガラスは割れても粒状になりケガを防ぐと説明しましたが、泥棒にとってはこの特性はかえって好都合となります。

ハウスメーカーの一部知識の薄い営業マンは、堂々と「網入りガラスや強化ガラスは防犯にも安心ですよ!」と説明してしまうので

気をつけましょう!

 

フラッグシップのトリプルガラス

複層(ペア)ガラスのさらに上の断熱性能を併せ持ったガラスがトリプルガラスと言われるものです。

3枚のガラスに2層の空気層が計画された住宅で使うガラスの中ではまさに王様的な存在です。

海外では歴史がありますが、日本ではメジャーなメーカーがここ数年でやっと商品化しました。

最初は一般地域用のみでしたが、最近YKKapが防火エリアで使用可能なトリプルガラスの樹脂サッシを発売しました。

まだまだ価格も王様級ですが、だんだんと普及してくれば日本の住環境も大きく向上するはずです。

トリプルガラス APW430の画像

トリプルガラスのAPW430  YKKapのHPより

まとめ

サッシを構成しているガラスに焦点を当てて説明してきましたが、厳密に言えばまだまだ細分化できるのがガラスの世界です。

注文住宅のガラスの選定についてお客様は「透明か不透明か」の確認するのみで、あとは住宅会社に任せてしまっているケースが非常に多いと思います。

ガラスには、透明、不透明以外に、「遮熱」「断熱」「防犯」「防音」「耐風」など様々な付加価値が備わっておりますので、一回は注目されてもいいのではないかと思います。

実務者の私共も、お客様に適切なアドバイスができるように常に最新情報に目を向けておかなければなりませんね!

それではまた。

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2020.05.24

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