木造の構造計算って!?【日本一わかりやすい木造の構造計算の解説】

代表の鈴木です。

本日は構造計算のはなしです。

難しい分野かもしれませんが、とても大事な話なので特に木造の構造計算について日本一わかりやすい解説を目指し頑張って記事にしてみますね!

ところで構造計算ってなんでしょうか⁉︎

木造の構造計算の解説画像

 

「あこがれの夢のマイホーム!そして間取りも決まった!でもこれから建てるこの家は大地震が来ても大丈夫なのかしら⁉︎」

そんな不安を解消するために様々な角度から「建物の構造安全性を科学的に検証し確認するための計算」のことを構造計算と言います。

聞けば、構造計算するのがすごく当たり前のことに聞こえますよね!

 

 

構造計算って当然やってるんでしょ!?

「地震大国の日本!物づくりの日本!技術の日本!」

当然日本の家の耐震性は最先端をいっていると考えると思います。

しかしながら、日本で建っているおよそ80%にあたる木造の平屋、及び2階建ての住宅は、ほとんど構造計算がされていません。

 

だから悲劇は繰り返される!

近年だとまだ記憶に新しい2016年に発生した熊本地震。

震度7という非常に大きな揺れが2回も発生し、これまで比較的安全だとされてきた2000年以降の「新耐震基準」の建物が多くの被害を受け、特に「長期優良住宅」

に認定されていた建物が倒壊してしまった事実に住宅業界にも大きな衝撃が走りました。

「まさか国が積極的に推奨していた長期優良住宅が倒壊するなんて…」

おそらく構造計算をしていれば、倒壊を防げたかもしれませんが、この建物は構造計算がされていませんでした。

 

「構造計算をしなくても、長期優良住宅の認定が取れてしまう⁉︎」

不思議ですが今の日本の制度だと構造計算をしなくても、長期優良住宅も耐震等級3も取得できてしまうのです。

 

構造計算をしていればこのような悲劇は起こりません!

地震による死者の90%は地震発生から15分以内に命を落としていると言われていることはご存知でしょうか⁉︎

これは建物の倒壊によって多くの人が一瞬にして命を失うことを意味しています。


 

それでも国は、木造の構造計算を義務化しません!

鉄骨造や鉄筋コンクリート造で造られる比較的大型の建物は構造計算が法律で義務化されておりますが、木造の住宅レベルの規模となると話が変わってきます。

面積規模で500㎡以下、木造の2階建て以下の建物については、構造計算が法律で義務化されていません。

「4号特例」という魔法の⁉︎ 逃げ道によって、構造計算は免除という扱いになっているのです。

面積で500㎡以下.木造の2階建て以下という条件であれば、まずほとんどの家がこの条件に入ると思います。

日本で建てられているほとんどの家が構造計算されていないというのはそのためです。

 

法律できまっていないのでやらなくてもいいの!?

 

関東にもいずれ来る!?大地震!くるくる詐欺なのか!?

数年前から、あらゆる専門家や専門機関の間で、首都圏では30年以内に直下型の大地震がくるといわれています。

幸い今日までは、まだ大地震は発生しておりませんが、これから先どんどん確率が上がっていくということを自覚しておかなければなりません。

 

地震が来る可能性のイメージ画像

もし大地震が発生して不幸にもあなたの家が倒壊したら!?

運よく命が助かったとしても・・・

1. 国は何も補償してくれません。 天災は国の責任ではないという立場です。

2. 住宅ローンはそのまま継続して払い続けなければなりません。銀行は助けてくれません。

3. 住宅会社の保証がある! 天災は免責扱いで、住宅会社は責任を負いません。

4. 地震保険がある! 全壊しなければ保険契約金額の全額はおりません。ただし全壊してしまったら命の保証もありません。

 

いかがですか?

誰も助けてくれないのです。

構造計算をして科学的に安全性を検証した家に住んでいれば、かなりの確率で家族の命もその後の生活も守れるのです。

 

なぜ多くの会社が「構造計算」をしないのか!

理由その1-コストアップになる構造計算

「法律で義務化されていないのだから、構造計算なんてやらなくてもいいだろう!」

ごもっともです。

木造の構造計算はその費用で20~30万円、そして柱や梁の構造材アップなど「構造計算」を実施すると「壁量計算」によって計画される建物よりも50~60万円ほど建築費がアップする傾向にあります。

「義務化されていない構造計算をわざわざお金と時間と手間をかけてやる必要はない!」

「金も時間もかからない簡易的な壁量計算で十分だろう!」

「万一大地震が来て建物が倒れても、どうせ自然災害は免責だし関係ない!」

実は多くの住宅会社の実務者はこう考えているのです。

理由その2-木材の強度がわからないから構造計算できない

構造計算をする上で重要な要素の一つに「材料の強度を把握する」というものがあります。

材料の強度とは主に構造材(柱や梁材)の強度のことで、日本人は昔から無垢の木材を好む傾向にありますが、日本で強度がはっきりわかる無垢の構造材はあまり多く流通していないという現状があります。

「いやいや、JAS(日本農林規格)の表示があるじゃないか!」

と反論が聞こえてきそうですね!

JAS基準は「目視等級」と「強度等級」という2つの基準が存在します。

通常木材は「目視等級」で取引されており、見た目が綺麗な(節などが少ない)木材が高値で取引されます。

そこで柱や梁に無垢材を売りにしている住宅会社は「目視等級」の材料を入手するしかありません。

これでは材料の強度がわからず、そもそも構造計算が成り立ちません。

では、「強度等級」で取引される木材は何か!

それが「構造用集成材」と呼ばれている木材なのです。

理由その3-いまだはびこる「大工神話」

「うちは腕のいい大工さんに建ててもらったからしっかりしている!」

「地震にも強いと言われた!」

このような話は、わりとご年配の方からよく聞く話です。

さてその腕のいい大工さんは、建てた家の総重量を把握して建てているのでしょうか?

そして大きな地震が来たときに、その建物の重量によってどれくらいの力がかかり、柱の太さや梁の太さ、筋交いの配置などを計算して作っているのでしょうか?

現在、木造の構造計算は、構造設計に従事している専門家が構造計算専用のコンピューターソフトを使い、かなりの手間と時間を使って計算しています。

全ての柱や梁の安全性が確認できた構造計算書はA4の用紙で実に数百枚のボリュームになります。

はたして、その腕のいい大工さんの頭の中はコンピューター並みの計算能力を持っていたのでしょうか?

その理由4-木造の構造計算は商売が下手な会社がすること!?

「無垢のヒノキの柱!」と聞いてどう感じますでしょうか?

多くの方は「高級な木材」「強い木材」とイメージして、価格が高くても当然だと思っているのではないでしょうか?

では実際にヒノキの柱は強いのでしょうか? そして価格も高いのでしょうか?

JIS規格(日本産業規格/旧日本工業規格)で強度を示すヤング係数というものがありますが、一般に安価で大量に流通している米松や欧州赤松などの木材は実にヒノキの1.3倍の強度を持っています。

【代表的な樹種のヤング係数の比較】

ヒノキ   90E

米松     120E

欧州赤松   105E

それでは価格はどうでしょうか?

確かにヒノキは他の樹種よりも高価ですが、それでも柱1本の差額で約500円高いくらいです。

30〜40坪の2階建て木造住宅では平均100本ほどの柱を使いますので、1棟で差額は50,000円ほどなのです。

だけど実際はもっと高い金額を提示されているにもかかわらず、多くの方は「ヒノキだから!」と納得してしまうのです。

ここに商売の旨みが潜んでいるのです。

構造の安全性よりも会社の利益を優先するのであれば、構造計算よりもヒノキの無垢柱で建てる家を勧めるのも当然と言えます。

理由その5-構造計算!? そんな難しい話はやめましょう!

木造の構造計算の話はなかなか難しい分野です。

住宅業界に従事している人間でも、よっぽど専門にやっていない限りその中身を理解している人はほとんどいません。

まして大学の文系学部を卒業した人たちが多く在籍しているハウスメーカーの営業マンは構造計算という言葉すら聞いたことないというのが現実だと思います。

そしてお客様も、「そんな難しい話をされても・・・」となってしまいます。

そこで多くの住宅会社やハウスメーカーは、

「とにかく無垢材・天然素材志向」

「集成材は使いません!」

「最新設備や自然素材」

というような、見てわかりやすい、情緒に訴える営業を展開しているのです。

「大手だから安心!」このイメージが住宅業界を甘い体質、弱い体質にしてしまっていると思います。

理由その6-建築基準法という法律の魔力

「建築基準法を満たしているから大丈夫!」

「国が定めた基準だから安心!」

多くの方がそう思っています。

建築基準法では延床面積で500㎡以下、二階建て以下の木造住宅では「構造計算」を義務化しておりません。

一般の方や住宅業界に身を置く方にとっても、この【建築基準法】という言葉にとても強大で絶大なイメージを持っているようです。

ですから、建築基準法で定めている建物の安全性は「最低限の基準」であって「最適な基準ではない!」ことを理解している方はほとんどいないのが現状です。

国は国民に対して、「最低限の基準は作ってあげるよ!、でも最終的に自分の命は自分で守ってね!、天災による災害は国の責任ではないですからね!」こう言っているのです。

構造計算がなかなか実施されていない現状についてお話してきましたが、ここからは構造計算について詳細に解説していきたいと思います。

構造安全性をは図る手段とは

構造安全性を確認する手段は現在3つの方法があります。

1.【壁量計算】

建築基準法で定められている最も一般的で多くの会社が採用している計算方法です。

壁の量だけで、地震や台風などの横の力(水平力)によって建物が倒れないかを検証する簡易的な計算方法。

計算結果の資料はA3の用紙1枚程度。(費用はタダ)

* 法律では木造2階建て以下かつ500㎡以下はこの「壁量計算」のみでOKとされている。

2.【性能評価(品格法)による壁量計算】

耐震等級2or 3を確保するために壁量計算に加えて、「床・屋根倍率の確認」と「床倍率に応じた横架材接合部の倍率」を検証した計算方法。

(費用は10万円前後)

* 長期優良住宅や、ハウスメーカーはこの計算で耐震等級を導き出しているケースが多い。

3.【構造計算(許容応力度計算)】

今まで解説してきた構造計算は正式には許容応力度計算といいます。

地震や台風路に建物にかかる水平力の検証に加え、建物の自重や荷重の鉛直力(上から下にかかる力)に対して全ての柱や梁の検証を行い、建物の安全性を確かめる計算方法。

構造計算の計算資料(構造計算書)はA4の用紙で数百枚になります。(費用は20万円〜)

*構造計算(許容応力度計算)では「性能評価(品格法)による壁量計算」で確認された耐震等級よりもさらに信頼性の高い耐震等級の表示が可能となります。

構造計算(許容応力度計算)とは

許容応力度計算(ルート1)

【まず建物にかかる重さを調べる】

1. 建物の重さを調べる(建物の自重)

2. 建物の床に乗る重さ(人や家財道具)を想定する。(積載荷重)

3. 雪が積もった時の屋根にかかる重さを考慮する。 (積雪荷重)

4. グランドピアノや大型金庫や水槽など特に重いものの重さを考慮する。(特殊荷重)

5. 全部の重さを合計する。(建物自重+積載・積雪荷重+特殊荷重)

【建物にかかる重さが力としてどう伝わり、その力に耐えられるかを調べる】

1. 建物にどのような重さ(下向きの力)が伝わるか調べる。

2. 伝わった重さに材料が耐えられるかを調べる。

3. 地震が来たときにかかる力を建物の重さから換算する。

4. 台風が来たときにかかる力を調べる。

5. 地震や台風が来たときに建物にかかる力(横向きの力)に材料が耐られるかを調べる。

 

許容応力度計算(ルート2)

【ルート1の計算結果に基づき次の計算を行う】

1. 地震が来たときに、建物がどのくらい傾くのかを計算する。(層間変形)

2. 台風が来たときに、建物がどのくらい傾くのか計算する。(層間変形)

3. 建物の上下階の強度のバランスを調べる。(剛性率)

4. 建物の重さと強度が偏っていないかを確認する。(偏心率)

* 通常このルート2まで計算したものが「構造計算」と評価される。

 

構造計算のイメージ図の画像

構造計算のイメージ2の画像

許容応力度計算(ルート3)

【さらに大地震が来たときにぺしゃんこに潰れない(全壊)かどうか調べる】

1. 大地震が来たときに、建物の重さから破壊する力を換算する。

2. 建物が地震によって瞬間的に大きく傾いたときに、どこまで粘り強く耐えられるか調べる。

* ルート3まで確かめられた建物は、大地震でも理論上安全であると言える。

 

あなたはどちらを選びますか!?

構造計算と壁量計算の比較

構造計算と壁量計算の比較の画像

 

本当に大切なことは構造計算で目指すゴールの設定

「木造の構造計算が大事なことはわかった!」

ただし構造計算は求める建物の構造安全性のレベル(目標)に向かって計算・検証していく計算手法なので、どのレベルを目標とするかが非常に大事なことです。

目指す目標のレベルは3つあります。

耐震等級1   (建築基準法-最低限の基準)

耐震等級2  (耐震等級 1の1.25倍の強度)

耐震等級3  (耐震等級1の1.50倍の強度)

当然目指すべき目標は【耐震等級3】となります。

構造計算で導き出される耐震等級は最も信頼性が高い!

 

なぜ木造の構造計算をすべきか!

1. 構造計算で防げる「半壊」の悲劇

運良く「地震保険」に加入していたとします。そこで運悪く大地震に遭遇してしまったとします。

建物は全壊は免れ半壊となりましたが、なんとか命を守ることができました。

そこで地震保険だけでこの建物は元通りに修復できるのでしょうか?

半壊だと手にできる保険金は保険契約金額の60%と言われています。

この金額ではほぼ修復は不可能ですね!

きちんと構造計算(許容応力度計算)を行いそれに基づき施工された建物は半壊することはありません。
また以前の暮らしに戻ることができるのです。

2. 自然災害からの再建は自己責任! 誰も助けてくれない

運悪く、地震で建物が倒壊!まだ住宅ローンも残っている。

さて、誰が助けてくれるのでしょうか? 国が? 住宅会社が? 銀行が? 保険が?・・・・実は誰も助けてくれません。

国は自然災害は国の責任ではないという立場です。

住宅会社は立派な保証をつけていますが、自然災害は免責扱いです。

銀行だって住宅ローンを免除してくれません。

地震保険は「全壊」になれば100%保険金が下りますが、そもそも全壊になれば命ごと失ってしまう可能性があります。

住宅が倒壊、もしくは大きな損傷を受ければ、すべてを失い自己破産の道をたどるしかないのが現状です。

家を失うか失わないかで、その後の生活に著しい差があるのです。

3. 壁量計算は確認申請で審査されない

「四号特例」というたびたび業界では話題になるおかしな法律が存在しています。

これは「500㎡以下、2階建以下の木造建築物で、建築士(一級・二級・木造)の設計したものについては、構造設計に関する部分他について設計者の

技術水準を勘案し、建築主事の審査を要しない」という内容の法律です。

つまり木造二階建てに関して建築確認審査では壁量規定のチェックはしないと定めているということになります。

国は、小規模クラスの木造建築物はその構造安全性の検証について、建築士に責任を一任してしまっているのが実態です。

 

アーキ・モーダは!

耐震等級3をゴールに定めた構造計算(許容応力度計算)を実施し、構造安全性を担保し、最高レベルの安心を提供します。

そういうことだったか!

かつて、某ハウスメーカーが「像が乗っても大丈夫!」とその構造安全性をアピールしていました。

多くの人は「すごいな~、さすがだな~」と思って、好意的にこのCMを見ていたと思います。

では、本当にすごいことなのでしょうか?

積雪荷重の計算について、東京エリアだと屋根の上に30cmの雪が乗った重さを基準に計算します。

屋根面積が60㎡だと仮定します。(平均的な大きさの建物の屋根面積)60㎡の屋根に乗る30cmの雪の重さはおよそ6tになります。

そう、大人の象と同じなんです。

構造計算を行う建物は、最低この重さが乗ったことを仮定して計算されます。

当り前レベルです。

ただし、伝え方で与える印象はだいぶ違うものですね!

象のキャラクターを使って、当り前のことを、すごい!と見せかけるこのハウスメーカーのプロモーションに脱帽ですね!(笑

 

まとめ

伝えたいことが盛りたくさんでとても長くなってしまいましたが、ここまで読んでいただいてありがとうございます。

家はとても高価なものです。

しかし何となく曖昧な基準や安全性で建てられてしまっている家が数多く存在していることはご理解できたかと思います。

例えば、車の開発をイメージしてみましよう。

日本では法定速度が定められておりますが、高速道路においても最高速度は最近東名高速道路の一部区間で定められた120キロまでです。

ところが売られている全ての車は開発の過程ではそれよりもはるかに高い速度域まで走ることを前提に開発されています。

ブレーキ性能、サスペンション性能もしかり、その他普通ではほぼないと思われるような使い方まで想定して開発されていることは周知の通りです。

しかし車よりもはるかに高額で耐用年数も長く求められる住宅であっても、そのほとんどが国の最低基準で建てられている事実に違和感を感じずにはいられません。

今回は構造計算=耐震性能の話を中心にしてきましたが、最低基準をベースにした家づくりは耐震性能だけではありません。

断熱気密性能も、耐久性能も多くの住宅が国の基準ギリギリで計画されているのが現状です。

まだまだ少ないですが、国が定めている最低基準に甘んじることなく、より良い家づくりをしようと頑張っている工務店さんも全国に存在しております。

きっとあなたの街にもいるはずです。

住宅業界はかなり閉ざされた業界ですが、ぜひお客様自身も正しい知識と目を持って、本当の意味で安全で快適な注文住宅を実現していただきたいと切に願うところです。

 

いかがでしたでしょうか?

【日本一わかりやすい木造の構造計算の解説】で構造計算について少しでも理解いただけましたでしょうか??

それではまた。

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