建物の保証【長期保証制度】は本当に有益なのか?

2024.06.07改稿
代表の鈴木です。

今日は【建物の保証について】のお話です。
一般的に物を購入するとき、あるいはサービスを購入するときは「保証」について関心を持つはずです。
まして家という高額な買い物は特に気になりますよね!
そこで、新築戸建て注文住宅の場合という条件で保証について少し整理していきたいと思います。

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建物の保証 | 法律で義務化された保証とは

2000年04月に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」通称「品確法」に基づいて、すべての住宅施工会社に「瑕疵担保責任」が義務付けられました。
そして20年後の2020年4月1日施行された民法改正により、従来の「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」へと改まりましたが、新築住宅においては品確法の特則が適用され、大手、中小問わず住宅を供給する全ての会社は「主要構造部の欠陥」及び「雨漏れ」について【10年保証】することが義務づけられております。

建物の保証 | もし施工会社が倒産してしまったら!?

法律で義務化された【10年間の瑕疵担保責任】も、施工したハウスメーカーや工務店が健全に存在していることが前提の保証です。(当たり前ですね!)
ところが、ハウスメーカーや工務店が建ててから10年以内に万が一廃業、あるいは倒産してしまったらどんなに立派な保証書が存在していても、それらはただの紙切れになってしまいます。
それでは困ってしまいますよね!。

そこで、2009年10月以降に引き渡される住宅には瑕疵担保責任を履行するために、施工会社に対して「資金確保」が義務付けられます。
資金確保の手段は、法務局などに保証金を供託するパターンと保険によるパターンがありますが、供託のパターンは大手ハウスメーカーが選択しており、その他ほとんどの中小施工会社は保険に加入しています。
それが「瑕疵担保責任保険」と呼ばれるもので、新築の住宅を引き渡す施工会社は、供託或いは物件ごとに「瑕疵担保責任保険」に加入しなければ引き渡しをすることができない仕組みとなっております。
この「瑕疵担保責任保険」に加入していると、施工会社が建物を引き渡してから10年以内に廃業あるいは倒産してしまっても、10年保証の内容である「主要構造部の欠陥と雨もり」の保証は担保され、保険会社から依頼を受けた他の工務店が補修や改修工事を行うことになっております。

各ハウスメーカーや中小工務店はこの「10年保証」いわゆる「主要構造部の欠陥と雨漏り」をベースに、各仕上げ部材(例えば床材や建具やクロス、外壁材など)は1〜2年保証、住宅設備機器に関しては、各設備メーカーの保証期間、保証内容を合わせて「保証書」を作成しています。
ここまでは、大手ハウスメーカーも、中小の工務店もほとんど同じです。

建物の保証 | 長期保証制度の本当の意味を知っておこう!

ハウスメーカーを中心に、20年保証や30年保証、そして60年保証など長期保証制度を謳う会社が増えてきました。
お客様にとって、保証期間は長ければ長いほど安心ですね!
さて、その長期保証制度の内容を見てみましょう。
まず、保証対象項目はどの会社も「主要構造部と雨もり」が中心です。
最近は屋根や外壁も対象項目に含んでいるケースも見られます。
この長期保証制度は、瑕疵担保責任の10年間が経過する時点で、有償又は無償の点検を受け、必要なメンテナンスをそこの施工会社で実施(有償)することを条件に、プラス5年或いは10年の保証が継続されていきます。

いかがでしょうか?
安心ですね!!!?

建物の保証 | ハウスメーカーに都合がいい長期保証制度

なぜ大手ハウスメーカーを中心に長期保証制度を謳う会社が増えているのでしょうか?

答えはズバリ長期間、顧客を囲うことができるからです。

まず定期的に「点検費用」と「必要なメンテナンス工事」が自動的に受注できます。
途中他社でメンテナンスやリフォームしてしまうと、途端にこの長期保証は打ち切られてしまうという不安感を煽ることで、長期保証をエサにハウスメーカーは将来にわたってメンテナンス工事やリフォーム工事を自社で受注し続けることができるのです。
建物を長期間使用していくためには、メンテナンスが必要なことは多くの住まい手の方は理解していますが、長期保証制度を使っているとメンテナンス工事や将来のリフォーム工事時はお客様が自由に施工会社を選ぶことができません。
価格交渉も効きませんよね。
お客様にとって、この長期保証制度は本当に有益なのでしょうか?

建物の保証 | お客様がほとんど知らないこと

保証には必ず「免責事項」があります。
建物の保証で免責事項って何だと思いますか?
改めて確認すると結構あるのですが、重要のことは【自然災害に起因する建物の損壊は保証対象外になっている】ことです。
地震や暴風雨、積雪など必ず起こりうる自然災害については免責扱いで建主の自己責任なんです。
知っていましたか!?

建物の保証 | 保証よりも大切なこと

「何かあっても、大手だから大丈夫!」「保証がついているから大丈夫!」
多くの方がそのように思っています。
確かに間違っていませんが、イザという時に使えない物(保証)という覚悟や認識も必要です。
大きな地震が来た時、モンスター級の台風が来た時に建物を支えるのは、家族の安全を守るのは、「保証」ではありません。
それは【許容応力度計算】をして耐震等級3を確保した建物であり、デザインと雨仕舞を両立させた高耐久仕様の建物であったりします。

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長期保証制度は、お客様以上に施工会社にとって、とても都合が良い内容になっているように思えます。
本当の理想は、「保証」を使わずに済むことですよね。
これがお客様にとっても施工会社にとっても一番いい状態なのではないでしょうか?
この状態に向けて一番理想的な方法は、先にもあげた【許容応力度計算】をして耐震等級3を確保した建物であり、デザインと雨仕舞を両立させた高耐久仕様の設計なのだと思うところです。

それではまた。

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