自然素材の魅力を考える〜外装編〜
東京と埼玉でSE構法+省エネ住宅を建てるアーキ・モーダ

前回は建物の室内で使われる自然素材の種類とその魅力を書いてみました。

東京と埼玉でSE構法+省エネ住宅をたてるアーキ・モーダ自然素材の魅力を考える〜室内編〜

今回は、建物の外部に使える自然素材にフォーカスしていきたいと思います。
建物の外部を構成する部材は「屋根材」「外壁材」がそのほとんどですが、破風や軒天、雨樋なども外部を構成するパーツと言えます。

自然素材〜屋根材〜

まず、屋根材についてですが、自然素材といえば「瓦」が代表的です。瓦もいくつか種類があって、昔から実績のあるものは粘土を原料とした日本瓦です。後に触れますが、日本瓦のメリットはたくさんありますが、近年、特に都市部においては新築ではほとんど見かけなくなりました。
理由は3つ挙げられます。

1.その重さによる耐震性への懸念

「屋根が重いと地震に弱い!」という話を聞いたことがあると思います。実はこれには大きな誤解があって、屋根に重い瓦が乗る前提で構造計画(構造計算によって科学的に耐震性を担保)をしていれば全く問題はないんです。ところが昔の木造住宅は大工の経験と勘によって建てられたものが多く、耐震性について安全性が担保されていない多くの建物に瓦屋根が使われており、近年の大地震でことごとく倒壊した瓦屋根の木造住宅をみて、「やっぱり瓦屋根の家は地震で倒れる!」と言われてしまったのでしょう。

2.コストへの懸念

最近主流となっているカラーベストに代表される「スレート」と呼ばれる屋根材と比べ、瓦屋根の初期コストはおよそ3倍ほどになります。瓦が高いというより、スレートが極端に安いというのが現状ですが・・・。

3.最近主流のスクエアデザインやモダンテイストの外観デザインには合わない

なだらかな大屋根に代表される昔の日本家屋の姿は、都市部の新築住宅においてほとんど見ることはなくなりました。デザイナーズ住宅と称されるスクエア形状の建物には屋根の存在を感じることができません。また薄く繊細なデザインを好む建築家や設計事務所の人達にとって、瓦屋根という選択肢はもう頭の中にはないのでしょう。
以上の理由で、瓦という素材は今やほとんど死語のような扱いになっています。

瓦屋根のメリット

ここで瓦のメリットを記していきたいと思います。

1、 圧倒的な耐久性(瓦そのものはメンテナンスフリー)
2、 耐火性能が高い
3、 断熱性能、保温性能が高い
4、 遮音性が高い
5、 耐水性、防水性が高い
6、 色褪せがない

いかがでしょうか!?

日本瓦はこんなに魅力的なんです。モダンなテイストの住宅にもデザイン的に日本瓦と融合させるような建物が現れてくると一気に見直されてくると思うのですが。

実際に屋根工事に携わっている職人さんに、「自分の家を建てるなら屋根材は何を選ぶ?」と聞いたことがあります。多くの職人さんは「瓦」と答えていたこともお伝えしておきます。

自然素材〜外壁材〜

外壁材も多くの種類がありますが、自然素材といえば「木」や「漆喰」「タイルや石」が代表的な仕上げ材となります。外壁は視覚的に与える印象が強く、何を選択するかでその建物の印象が決まってきます。選択においては施主様の趣向性も強く現れると同時に、防火における国の認定制度もあり、なかなか選定は厄介な作業となります。
外壁材についても、ここ20〜30年はサイディングが主流で自然素材系の外壁材はほとんど見かけなくなりました。「木」や「タイル、石」はアクセントとして使われることがほとんどです。
屋根材同様、なぜ自然素材系の外壁が主流になれないのでしょうか?

外壁材に自然素材が使われない理由

現在外壁仕上材の主流はサイディングと呼ばれるものです。なぜ主流かと言えば、コスト、防火性能、メンテナンスについて非常にバランスがいいと思われているからに他なりません。また、エリアや地域に問わずどこでも使える利便性もあるかと思います。
例えば「木」は防火地域では選択肢が非常に狭まります。また「漆喰」はメンテナンスの不安、「タイルや石」はコストの問題で選択を見送られているケースが多いです。
では、外壁で自然素材を使うメリットはないのでしょうか?

自然素材系外壁材のメリット

おそらく多くの住まい手の方が気にしている「メンテナンス」「メンテナンスサイクル」について考えるとその魅力が浮き彫りになります。
「木」や「漆喰」「タイルや石」などの自然素材は、将来にわたりメンテナンスが効きます。
数十年経っても同じもの或いは似たようなものが手に入り、傷んだ部分だけをメンテナンスや交換することが可能です。

それに比べ、サイディングは数年で廃盤になり2度と同じものは手に入りません。またサイディングの継ぎ目に打つシール材(一棟で数百mあります)は10年前後に打ち替えが必要となり、外壁材の中ではメンテナンスサイクルが比較的短いことがあまり理解されてません。部分的な補修には向かない材質で、全面張り替えや全面塗り替えという大掛かりな工事が必要になりがちです。
外壁は面積も非常に大きいので、これは大変経済的負担が大きな話ではないでしょうか。建てる時のイニシャルコストも大事ですが、メンテナンスサイクルを考えた生涯コストを考えると自然素材系の外壁材を選択することには大きなメリットがあります。

生涯コストについて考える

このように、室内同様、外部においても自然素材系の仕上材はメリットが多いことがわかります。
しかし、なぜスタンダードになれないのか!?

やはり「初期費用」と「誤解」が大きな問題かと思います。

「値段が高いからお客様に勧めない」というのは設計側、施工側の都合でしかありません。ほとんどのお客様は「メンテナンスが楽!」或いは「メンテナンスサイクルが長い!」ことを希望されていることはこの業界の実務者たちは皆知っているはずです。価格の安い「スレートの屋根材」や「外壁にサイディング」を採用することがいかにメンテナンスサイクルを縮め、「生涯コスト」としてお客様に不利益を与えているかを住宅建築に携わる実務者たちがもっと真摯に受け止めなければならないと思うのです。

メンテナンスだけではない自然素材の魅力

メンテナンスや生涯コストにおいて、自然素材の多大なメリットをご紹介してきましたが、自然素材の魅力はそれだけではありません。これは室内で使う自然素材もそうですが、「経年変化の美しさ」という利点があります。日本の古い歴史のある街並み、ヨーロッパの古い歴史のある街並みが美しく感じるのは自然素材が持つ魅力と言えるでしょう。