家づくり-ハウスメーカーと設計事務所と工務店 どこがいいの?

代表の鈴木です。

家づくりは不思議です!
これだけ成熟した情報化社会の中で、あらゆる情報が手に入るはずなのに、住宅業界は一般の方が知らない、または知り得ないことがたくさん存在します。
まずはこの不思議な住宅業界を理解してから、家づくりをスタートされることをお勧めします。
なぜなら
自分たちの家づくりをまかせる相手は、【ハウスメーカーがいいのか、設計事務所がいいのか、工務店がいいのか】の答えに目利きが効くようになり冷静な選択ができるようになるからです。

もちろんプランやお金の話も大事ですがどこで家を建てるかはもっとも重要です。

どこで建てればいいの?

あなたにぴったりの建設会社の選び方

どんなにネットで調べても、住宅展示場に行っても、雑誌を読んでも決してわからない・・・これが注文住宅の世界です。
しかしながら、それぞれの会社の特徴を把握することができれば、楽しい家づくりがスタートできます。
それでは早速、ハウスメーカーが向いている人、設計事務所が向いている人、工務店が向いている人をまとめていきたいと思います。

ハウスメーカーが向いている人

ハウスメーカーが向いている人のタイプ

ハウスメーカーでの家づくりは、ファミリーレストランでの食事に例えるとわかりやすいと思います。
ファミレスの特徴は、全国どこでも同じメニュー、同じ味、工業化が進んで調理も早い!味のイメージがつきやすい。
まさにハウスメーカーの家づくりとよく似ています。
上記1〜5の中で、ちょっと意外と感じる項目があると思います。
そこでもう少し踏み込んで解説していきます。

1についてはよく理解できるとして、2についてはどういうことでしょうか?

2・あまりこだわりがない人(特にプランやデザイン)

ハウスメーカーという組織は、実は注文住宅の設計施工があまり得意とは言えません。
「そんなバカな!」と思うでしょうが、事実です。
ハウスメーカーのプランは自由設計と言えど、その範囲はセミオーダープランの領域に限られます。
ハウスメーカーで注文住宅を検討したことがある方ならよくわかると思いますが、基本ハウスメーカーはお客様に間取りの要望を伺いプラン提案をするのは多くの場合その会社の営業マンです。
ほぼ全ての営業マンは文系出身で設計士の資格は持ちません。
その会社でストックされている規格プランを少しいじってお客様に提案するということが行われています。
「なぜ?」と思うでしょう。
それは、営業マンの数に比べ設計士の数が圧倒的に少ないことが原因の一つです。もちろん絶対に設計士がプランを書かないということではありません。
大型物件、高額物件や著名な方がお客様として来れば設計士が出てきます。お客様はハウスメーカーに選別されているのです。

3・忙しくてあまり打合せの時間が取れない人

ご契約後、ハウスメーカーは打合せの数が非常に少ないのが特徴です。ほとんどのお客様は3〜4回ほどかと思います。ハウスメーカーでの家づくりは、その会社の標準仕様をベースにその会社が設定したオプション品の中から選んで内容を決めていくスタイルです。
新車購入と似ていますね。
多くの打合せが煩わしいと感じる人や、忙しくてあまり時間が取れない人には効率的なシステムになっていますのでハウスメーカーはオススメです。

4・なるべく早く入居したい人

家を作る会社の中で、ハウスメーカーは一番早く家が出来上がります。ほとんどの部材が規格化されており、工業化も進んでますので当然かもしれません。
また、よく街中で見る光景かと思いますが、ハウスメーカーの現場は日曜日も祝日も関係なく工事しています。その分早いのかもしれませんね。

5・価格重視の人

「ハウスメーカーの家は高い!」と思っている方は結構多いですが、ローコストを売りにしているハウスメーカーも存在しています。また大手ハウスメーカーでも、決算月や営業マンの数字(成績)によっては大幅な値引きが期待できます。ただしその値引き分は見積書にONされてますので、お客様が得したのでなく、得した気分にさせられていると理解した方が良いかと思います。その理由として、ハウスメーカーの利益率は、設計事務所や工務店の利益率を圧倒しています。

設計事務所が向いている人

設計事務所が向いている人の特徴

設計事務所との家づくりは、三ツ星レストランでの食事に例えるとわかりやすいと思います。
値段は高いけど、その分お店独自の味や雰囲気を価値として味わうことができる・・・まさに設計事務所との家づくりに似ています。
こちらも少し解説を加えていきます。

2・こだわりの強い人(特にプランやデザイン)

これについてはまさに設計事務所の真骨頂! ハウスメーカーとは対極です。
個性的なデザインやこだわりの注文住宅を味わえるのが設計事務所の特徴です。

3・性能よりデザイン思考の強い人(雑誌に出ているようなカッコいい家を望んでいる人)

インテリア雑誌などに掲載されている、まるでアート作品のような施工例が好みの方も設計事務所が向いてます。
ハウスメーカーや一般の工務店ではそのようなデザインは期待できません。
ただしデザインと建物の性能(耐震性・断熱性・耐久性)は相反する性質を持ってますので、建物の性能も気になる方は注意が必要です。

4・十分な予算がある人

設計事務所との家づくりが他のハウスメーカーや工務店と違う点の一つに契約形態があります。
設計事務所とは「設計契約」を、そして実際に施工する工務店とは「工事請負契約」を締結するという点です。
設計契約とは設計料のことで通常工事請負契約の10%前後(申請料や調査費用、構造計算費用は別途)が相場です。
そして工事価格も打合せを重ねていく毎に上昇していくのが設計事務所との家づくりの特徴なので予算管理は重要です。
設計料(工事価格の10%前後)と相場感以上の建築費用が用意できる人でないとなかなか満足のいく家づくりは難しいのが現状です。

5・打ち合わせに十分期間と時間をかけられる人

先に述べたハウスメーカーが3〜4回の打合せが一般的であるのに対して、設計事務所との打合せはかなり多くなる傾向になります。打合せ期間は最低6ヶ月以上〜1年くらいは覚悟しておいた方がいいでしょう。当然工事期間も長くなりがちで、打合せ開始から最後建物完成を迎えるまでは数年かかることもあります。

工務店が向いている人

ところで、工務店といっても様々な形態が存在していますので、ここでは会社の組織の中に設計士と現場監督が在籍しており、自前で営業活動をしてお客様と直接工事請負契約を締結する力を持った工務店という条件でまとめてみたいと思います。

工務店との家づくりは、作り手の顔が見え産地直送の新鮮な食材を使った知る人ぞ知る隠れ家的なお店で食事をするイメージと近いような気がします。
「隠れ家的」と表現したのは、いい工務店と言えど一般的になかなか知られないという現状があるためです。

関連記事1「工務店を知ろう!」

関連記事2「簡単にわかる!いい工務店の見分け方」

関連記事3「いい大工さんの条件とは」

ここでも詳しく解説していきます。

1・家づくりを深く勉強している人

「何を勉強している人?」かと言えば、ここでは建物の性能(耐震性、断熱性、耐久性)についてです。
「えっ!、建物の性能はハウスメーカーが一番でしょ!?」と思う方が多いかと思います。
しかし意外とそうではありません。
よく勉強されているお客様はそのことがわかっていると思います。
高性能から超高性能を狙うならば、その領域は良質な工務店でしか実現できません。

2・本物志向の人

ここで言う本物志向とは、自然素材などを使った家づくりを言います。この分野はハウスメーカーはあまり手を出したがりません。全国規模のハウスメーカーは安定的にどこでも、大量に入手可能な建材を使う必要があるため、なかなか自然素材を使いたがりません。また経年変化が均一でない自然素材はクレームにつながると理解されてることも要因です。うまく使えば住む方にとってこれほど有益な素材はありませんが、良質な工務店はそのことをよく知っているのです。

3・デザインよりも性能(耐震性・断熱性・耐久性)を重視する人

建てて終わりではない建築業界では、アフターやメンテは全て工務店が行います。
この建物に求められる性能について、工務店は特に耐久性に関しては敏感です。アフターやメンテに直結してくるからです。
デザインについては最近では高い設計力を持った工務店も多数現れてきました。その工務店のHPなどで施工例をチェックしてみるとその工務店の設計力を確認することができます。

4・腕のいい職人を望む人

ここで言う腕のいい職人とは「大工さん」をイメージしてください。
まず、「ハウスメーカーに腕のいい大工さんはいない」と私は思っています。
いてもごく少数かと思います。
「なぜか?」
実際に私がハウスメーカーで12年間、現場管理と営業職に身を置いて見てきたこと感じてきたことを踏まえ説明していきます。

【ハウスメーカーで望まれる大工さん】
1・マニュアルを遵守すること
2・工期を守れること
3・決まった単価で仕事をすること

ざっと上記3点です。
ごく当たり前のことで、仕事だから当然かと思うでしょう。
別にハウスメーカーに限ったことではありませんし家づくりの現場ではどの業態でも当然のことです。
しかし、そのレベルが尋常でないのがハウスメーカーです。
特に「工期と単価」については非常に厳しく、大工泣かせの条件が突きつけられています。
ハウスメーカーは独自のマニュアルを遵守させることで、全国どこの大工さんでも、ある一定の品質を担保させることが目的なので、腕のいい大工さんを集める必要がありません。
本当にこだわった注文住宅の家づくりをハウスメーカーが苦手な理由もここに繋がります。
こだわりの注文住宅はハウスメーカーが定める標準工期にも当てはまらず、大工単価も上昇してしまいます。「工期と単価」を重視し、平均点の品質をクリアすることで、全国区で商売ができるわけです。

ハウスメーカーのビジネスモデルは「数と効率」です。

腕が良く自ら仕事が取れるレベルの大工さんは、より高い報酬を求めて注文住宅の世界に飛び込みます。そこでじっくりと家づくりに向き合い仕事内容と自分の技量に合った単価を獲得していきます。
例えば能力の高いサラリーマンや技術者の方が、より高い報酬を求めて転職したりヘッドハンティングされたりするのと全く一緒です。

上記の理由から、今の住宅業界では腕のいい大工さんや職人さんは注文住宅をメインで施工している工務店に集まっているのです。

まとめ

私自身が現在、工務店経営者なので内容的には工務店よりになっていると感じる方がいるかもしれません。
しかし私はハウスメーカーに12年在籍し、工務店経営において日頃から設計事務所との協働プロジェクトも数多くこなし体感してきたことです。

【ハウスメーカー or 設計事務所 or 工務店】

なかなか悩ましいと思いますが、それぞれ参考にしていただき自分達の家づくりにぴったりと合う会社と家づくりを進めていただくことが大切だと思います。

それではまた。

2023.10.16 改稿
2019.03.01

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