〜暑さを克服する家づくり〜
東京と埼玉でSE構法+省エネ住宅を建てるアーキ・モーダ

代表の鈴木です。
まだ5月に入ったばかりですが、初夏どころか一気に夏が来たみたいな陽気に個人的にはテンション上がってます!私は冬よりも夏のほうが好きで、特に暑い夏が好きという少々変わった特性を持った人間です。笑
その上暑がりでもあるという面倒臭い人間でもあります。

そんなこととは関係ありませんが、せっかく暑くなってきたので『暑さを克服する家づくり』をテーマに話を進めていきたいと思います。

夏の過酷な現場環境

まず、「夏場の現場は地獄のように暑い!」という事実を皆さん知っておりますでしょうか?
家づくりのスタートである基礎工事は全く屋根のない、まさに炎天下の元での過酷な環境です。そして基礎工事が終わるといよいよ大工工事が始まりますが、上棟して屋根の下地が施工されると直射日光は防げますが、建物の周りには足場がかかり養生ネットで包まれているおかげで、特に都心部で近隣に囲まれた現場環境だととにかく風通しが悪く、「まるで蒸し風呂みたい」という環境に置かれます。サッシが取り付けられ一応雨風がしのげる状態になると、逆にビニルハウスのような環境になってしまうのです。この過酷な環境が少し和らぐのが、断熱材の施工を施した時です。やはり断熱材の効果は大きく、その後は少しマシな環境で作業を進めることになります。ただこの断熱材ですが、使う種類と施工方法によって「マシ」の度合いがだいぶ違います。
(断熱材の話は次回のブログで少し掘り下げて話をしていきたいと思いますのでここでは割愛します。)
その後工事が進み大工工事が終わる頃、並行して進めてきた外装工事も終わりを迎え、外部足場が解体されると風が抜けるようになり、だいぶ環境が改善されます。それでも今度は、今まで足場の養生ネットに遮られていた日差しが、何の障害物がなくなった窓から容赦なく降り注いできます。明るい家は日本人共通の信仰ですから、どの家も南に大きな窓が計画されます。そこから容赦なく降りそそぐ夏場の日差しは強烈です。このように夏場の現場はかなり過酷な状況なのです。

現場の進行状況を肌で体感すると、暑さを克服する家づくりに必要な要素が見えてきます。

暑さを克服するために必要な対策

1・適切な断熱計画
2・通風を考慮した窓計画
3・適切な日射遮蔽計画

以上が抑えられた家ならば、夏場も快適に過ごせる家になると言えます。
そしてこれらの対策が十分に施された建物であれば、より少ないエネルギーでエアコンを稼働させることができ、省エネで家計にも優しい住まいとなります。

それではそれぞれ具体的な対策例を考えて見ましょう

適切な断熱計画とは

先ほどは「断熱材の種類によって・・・」と記しましたが、昨今、断熱計画の良し悪しは建物全体(外皮)の熱貫流率で評価されます。
断熱材の計画のみならず、サッシや外壁や屋根など外気に接する部分の全ての熱抵抗値を計算してその建物の断熱性能を評価します。外皮平均熱貫流率、通称UA値と呼ばれ数字が小さいほど高性能を意味します。
それではどのくらいの数値が望ましいのでしょうか。

国が示している基準があります。地域によって基準が違いますのでここでは東京、埼玉あたりの区域区分5.6あたりで検証します。

UA値の基準

1・H28年省エネ基準(現在の断熱等性能等級の最高等級4レベル) UA値 0.87以下
 2020年にはこのレベルが完全義務化の予定    
2・ZEH(ネット・ゼロエネルギーハウス)基準 UA値 0.6以下
3・HEAT20 G1 (住宅の高断熱化技術開発委員会)UA値 0.48/0.56以下
  HEAT20 G2 UA値 0.34/0.46以下

このように示されていますが、体感的には2020年に完全義務化と言われているH28年省エネ基準レベルでは全く快適というレベルには届きません。
最低でもZEH基準のUA値0.6以下、少し余力を見てUA値0.56以下くらいは目指したいところです。
数字だけを見るとわずか少数点以下の世界の数字ですが、内容は大きく異なります。

通風を考慮した窓計画

パッシブデザインと表現する設計手法が注目されています。訳すと「特別な機械装置を使わずに建物の構造や材料の工夫によって熱や空気の流れを抑制し、快適な室内環境を作り出す手法」だそうです。
「太陽に素直な設計」と表現する方もいます。風は非常に気まぐれな性質があり、机上計算では成り立たない自然現象のため、パッシブデザインの世界でも「通風を重要視する人」、「通風は全く考慮しない人」に分かれます。ただし人間は風が好きな生き物です。非常に気まぐれではありますが、気持ちいい風が室内を流れていく様を想像し、それを求める人が多くいますので、通風を考慮した窓計画はなんだかんだ必要だと私は感じてます。窓の形状や、位置、方位など周りの環境も考慮しながら適切な窓配置は必要な設計スキルです。しかし先に挙げた断熱計画のUA値の計算では窓は不利に働きますので、そのバランス感覚が重要です。

日射遮蔽計画

実は、この日射遮蔽は「暑さを克服する家づくり」において非常に重要ですが、一番おざなりにされている部分かもしれません。
住宅営業マンは「Low-Eガラスですから!」と意気揚々に説明し、日射遮蔽についてはそれっきりになっているケースが多いようです。Low-Eガラスだけではあの強烈な日差しを回避することは不可能だと認識してください。

そこで何がいいのか!?

ローテクではありますが実は簾(すだれ)のように、窓の外側で日射を遮蔽するものが大変大きな効果をもたらします。最近はモダンな建物にも合うデザイン的にもすぐれた「アウターシェード」という商品が数多く出てきました。価格も安価なので是非計画したいところです。費用は嵩みますが、窓の外側に設ける電動ブラインドも非常に効果があり、吹抜け上部の手の届かない部分の窓にも計画できる利点があります。

この3つの項目をきちんと対策できれば、あとは最小限の冷房エネルギーで快適な室内空間を得ることができます。
最近では普通の壁掛けエアコン1台のみで、夏場を快適に過ごせる住まいを提供する工務店も出てきました。

目を覚ませ!

どんなに素敵な外観や素敵にデザインされた室内空間であっても、家は美術館ではありません。人に魅せるためのものではなく、夏も冬もそして1年を通して快適に住むことを前提とした箱でなければなりません。
ただ人間は、目で見たものの印象が非常に強く残ります。住宅展示場やショールーム、建築雑誌やインテリア雑誌にはその「視覚」に訴えるアートのような世界観が表現されています。多くの人がこんな家に住みたいと思うのは当然です。それが人間ですから!
だからこそ、家を提供する側の実務者たちがお施主様を正しい家づくりの方向性に導いていかなければならないのです。

『目を覚ませ!』

みなさまが、正しい選択をされて快適な住まいを建てていただくために少しでもお役にたてた内容であったならば幸いです。

それではまた。

2018.05.04