代表の鈴木です。
ここ数年の家づくりの主流は、家の省エネ=高気密・高断熱です。
しかしながら、地震に強い丈夫な家であってこそが大前提になっていることは、家を建てる人全てが思うところだと思います。
なぜ最高の耐震性能を求めるべきなのか!?
日本は世界的にみても、地震大国と言われるほど地震の多い国です。
ですから日本の住宅の歴史は地震との戦いの歴史とも言えます。
大きな地震を経験するたびに、耐震性能の基準がアップデートされてきています。
大きく変わったのは1995年の阪神淡路大震災以降です。
建築基準法も見直され、住宅性能評価が創設されて、以前と比べ飛躍的に耐震性向上がはかられました。
また2009年には「長期優良住宅」の制度も施行され、国策も手伝い新しく新築される住宅の品質は大きく向上してきました。
そこで、「今の新築であれば耐震性は安心だ!」と理解されている方が非常に多いのですが、実はそうでもないのが現実です。
まず、現行の建築基準法で定められている耐震基準は1981年に改定された「新耐震基準」がベースになっています。
以降、何度か小改定を繰り返していますが、未だに今から40年ほど前の耐震基準がベースになっていることに驚きです。
耐震基準に「新」がついてますが、40年ほど前の基準です(笑
「耐震等級」を正しく理解する
現在、建物の耐震性能についてはほとんど「耐震等級」で語られることが一般的になってきました。
家を建てる検討をしている多くの方々もさすがに耳にしたことがあるかと思います。
長期優良住宅は「耐震等級2」以上が条件となりますし、最高等級である「耐震等級3」を謳う住宅会社も多くなってきています。
そこで皆さんが、できれば最高の耐震性能の高い家を建てたいと考えるならば、どこに注目すべきかをアドバイスしたいと思います。
まず、検討したい住宅会社の方に、耐震性について会社としてどのような取り組みをしているのかを聞いてみて下さい。
100点満点の答えは以下の通りです。
「弊社がご提案する全ての建物は【許容応力度計算という構造計算】を行って、【耐震等級3】を取得しております。」
この答えが返ってきたら、もうこれ以上この会社に対して耐震性を疑うことは不要です。
完璧です!
では、「弊社は全棟、耐震等級3を取得しています。」と答えが帰ってきたらどうでしょうか?
続けてこの質問をしてみて下さい。
「耐震等級3は、簡易計算(壁量計算)で取得していますか?それとも、構造計算(許容応力度計算)で取得していますか?」と。
何故かと言えば、耐震等級の計算方法は2つの方法(簡易計算と構造計算)があって、実はそれぞれの計算によって導き出される耐震等級には強度的に差異があるからです。
以下の画像を見ていただければ理解しやすいのではないかと思います。
最高の耐震性能を求めるならば、構造計算(許容応力度計算)は不可欠です。
構造計算の詳しい説明についてはこちらの記事もご覧になって下さい!
木造の構造計算って!?【日本一わかりやすい木造の構造計算の解説】
RC造や鉄骨造、また木造3F建ての住宅をお考えの方は、「耐震等級3」だけ意識していれば大丈夫です。
これらの建物は「構造計算(許容応力度計算)」が義務付けられておりますので。
なぜ、木造の構造計算が広まらないのか
しかしながら日本の住宅の多くを占める「木造平屋住宅」や「木造2F建て住宅」は、「構造計算(許容応力度計算)」は義務化されておりませんので、ほとんどの住宅会社は構造計算をしておりません。
理由は
◯ 構造計算費用が高い 構造計算は、専門の構造設計事務所に外注する必要があるため別途費用がかかる。 (一般的な30坪〜40坪の木造2F建て住宅の場合、安くて20万円前後) ◯ 時間がかかる 外注による構造計算書の納品は早くて2週間くらいかかります。繁忙期は3週間から1ヶ月くらいかかる場合もあります。 ◯ 建物のコストが上がる 構造計算をすると、しない建物と比べて、基礎であれば鉄筋の量が増えますし、構造躯体の柱や梁、筋交いの数量やサイズが増える傾向にあります。 当然コストアップにつながります。 ◯ お客様が構造計算を求めない 求めないというよりも、そもそも構造計算を知らないというのが本当のところだと思いますが、法律でも義務化されておりませんので、構造計算を省いても違法ではありません。 もっと簡易的な計算で耐震等級が取得できるので、その方法が住宅会社にとっても都合が良い。
このように、多くの方が「構造計算(許容応力度計算)」の存在を知らないために、本当の意味で耐震性の高い木造住宅がなかなか建てられていないのが現実です。
「別に費用を余計にかけて最高の耐震性能を求めなくても、大きな地震にある程度耐えられるのであれば、それでいいじゃん!」
という意見もあるかと思います。
しかし、簡易計算で計画された建物をあらためて構造計算(許容応力度計算)し直すと、60%以上NG判定が出ると言われています。
とある調査ではほぼ全ての物件でNG判定が出たという話も聞いたことあります。
2016年の熊本地震では築浅でしかも長期優良住宅の建物が倒壊して、業界を騒然とさせました。
私なら数千万円の費用をかけて家を建てるなら、絶対に構造計算で導かれた耐震等級3の家を計画したいと思います。
決して過剰な要求ではなく、当たり前の要求だと思ってますが…。
ハウスメーカーなら安心なのか!?
さて、ここでハウスメーカーの話もしておきます。
ハウスメーカーも色々ありますが、ここではローコスト系のハウスメーカーではなく、誰でも知っている大手ハウスメーカーの話をしたいと思います。
大手ハウスメーカーは、自社で開発した工法を展開しているところが多いことをご存知でしょうか⁉︎
そして、やはり構造計算(許容応力度計算)は行っておりません。
「えっ、大手ハウスメーカーでも!?」
ハウスメーカーは、「型式適合認定制度」というものを使って、構造計算を省略しています。
型式認定制度とは、ある1つのモデルプランに対して、構造の安全性を確保し、それを自社の設計ルールとして展開することで国から特別に認定を受け、構造計算を省略できる制度です。
設計ルールに基づいて設計していれば、すべての物件でモデルプランによってシュミレーションした耐震性能が担保できるというなんとも乱暴な話です。
これで本当に一棟ごとに最高の耐震性能が担保できると言えるのでしょうか⁉︎
構造と業界に詳しい専門家は口を揃えて言います。
答えはNOだと。
関連記事:【ハウスメーカーで建てる時に覚悟すべき3つのこと】
まとめ
車の購入をイメージしてみて下さい。
車の安全性の追求は近年目まぐるしく進化をしていることは皆さんご承知のことと思います。。
ボディの衝突安全性についてはどんな車でもコンピューターでシュミレーションされて最適な構造に計画されています。
またぶつからないための自動ブレーキは2021年11月から全ての国産新型車に義務付けとなりました。
高度な運転支援システムは高級車だけでなく、最近は軽自動車にも標準設定されてきました。
オプション設定されていれば多くの方が選択しています。
このように、車であれば最高の安全性能を求めるのに対して、はるか何倍も高い注文住宅ではほどほどの安全性で満足している・・・
何とも不思議な話です。
ぜひ皆さん、注文住宅を建てるなら「最高の耐震性能」を求めてください。
そうするべきなのです!
それではまた。
2020.04.20
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