代表の鈴木です。
一般的には木造の戸建てにおいて、屋上を計画するケースはそれほど多いわけではありませんが、それでも毎年一定数は屋上計画のご要望をいただきますし、ここ最近は特に多いような気がします。
そこで、本日はあらためて一戸建て住宅で計画される屋上のメリット、デメリットについてお話ししてみたいと思います。
屋上を希望される理由の一つとして、狭小地において通常のお庭が計画できず、庭の代わりとして屋上が欲しいという発想があります。
しかしながら個人的には、屋上というのは通常の庭の代わりにはなり得ないと考えています。
通常の庭というのは大抵の場合、居間からその姿が望まれ視覚的な効果が得られる存在となっておりますが、屋上は室内のどの部屋からもその存在を感じることができません。
まず、屋上と庭は別物という意識が必要です。
だからと言って、屋上に魅力がないと言っているわけではありません。
物事にはメリットとデメリットが共存してますので、屋上についてそれぞれを整理していきます。
屋上のメリット
1. 狭小地に計画される建物においては、プラスαの空間として存在の意味がある。
先程もお話ししましたが、屋上には庭として視覚的な効果を生む要素はありませんが、屋外の活用という点では通常の庭よりも価値を持つことがあります。
屋上が計画される住宅は圧倒的に都市部が多いですが、3方向隣家に接近され囲まれた環境ではいくら庭があってもプライバシーの確保が難しくなかなか活用しにくいのですが、屋上は隣家の屋根よりも高い位置で計画できるのでプライバシーの確保が容易で眺望もいいというメリットが生まれます。
屋上の位置や方位を計算することで、地面の高さ(グランドライン)ではなかなか見ることができない夏の花火大会の花火や、遠くの山々、時には富士山の姿を屋上で楽しむことができます。
2. セカンドリビングとしての活用
屋上でなくても大きなバルコニーが計画できればセカンドリビングとしての活用は可能ですが、バルコニーの面積は隣接する部屋の面積との取り合いになります。
その点屋上は、まとまった面積を確保しやすく活用の幅が広がります。

人工芝を施工

ウッドパネルを施工

SKシンクの設置

タイル施工
3. 建物のメンテナンス的にも有利な点がある
屋上は住宅の屋根の代わりも担っております。
普通は住宅の屋根の上に簡単に登ることはできませんが、屋上に上がるということは屋根の上に登っていることと同じです。
メンテナンスの確認や作業も足場を組まずにできるので、なかなかのメリットだと思います。
4. 災害時の避難場所として活用できる
今、熊本や北九州、及び東北地方では大雨による甚大な被害を被っております。
「直上避難」を促すアナウンスもよく耳にするかと思いますが、1階の天井まで浸水するような状況の時はやはり屋上があった方が安心感が違います。
屋根に上がるのは危険ですし、空からの捜索活動が始まった時は、屋上にいた方が発見も早いかと思われます。
刻々と変わる周囲の状況も高い位置から確認できます。
次に屋上のデメリットを挙げてみたいと思います。
屋上のデメリット
1. 屋根よりも雨漏りのリスクが大きい
屋根はどのような形状でもそれなりに勾配があり雨水が屋根の上に留まることはありませんが、屋上は勾配は計画されど人が立っても違和感がない程度のゆる〜い勾配しかありませんので、雨水のキレが悪いことは想像するに難しくないと思います。
そこで、屋上の防水施工については入念に計画する必要があります。
一般的に屋上の防水は木造住宅の場合、【FRP防水】か【金属防水】のどちらかの選択になります。
金属防水の方が耐久性に優れるというのが業界では認知されているところですが、初期コストも金属防水の方がかかります。
私個人的には価格が安いFRP防水で十分かと思いますが、屋上でバーベキューをするなど火を使うことを想定しているのであれば、金属防水の方が安心かもしれません。
ただしそのリスクも、FRP防水の上に不燃材もしくは難燃性の仕上げ材を計画することで解消させるはずです。
2. 掃除が大変
バルコニーもそうですが、屋上も想像以上に汚れます。
砂埃や落ち葉などマメに掃除しても、すぐに汚れてしまうことにストレスを感じている方が多いのも事実です。
3. 屋上を快適に使える日は意外と少ない!?
多くの夢を見させてくれる屋上ですが、春先は花粉に悩まされ、夏は暑さと蚊に悩まされ、秋は台風、冬は寒さと風の強さに悩まされるのが屋上の宿命です。
「仲間や家族とバーベキューをしたい!」
「ビールを飲みながら涼みたい!」
と夢見て計画する屋上ですが、一回か二回は希望通りに使ってみるのですが、「実はそれっきり…」となってしまうことも多いようです。
まとめ
以上、屋上のメリットとデメリットを簡単にまとめてきました。
屋上は通常の屋根施工と比べ、一般的に百数十万円コストアップしますので、費用対効果をよく考えて計画するべきだと思います。
単に憧れだけで計画すると、「そんなにはずじゃなかった!」となり得ますので。
それではまた。
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