住まいづくりの進化と停滞〜設計 / 施工管理編〜
東京と埼玉でSE構法+省エネ住宅を建てるアーキ・モーダ

前回は「住まいづくりの進化と停滞〜営業編〜」というタイトルで過去20年を振り返り、住宅の営業スタイルの観点からその進化と停滞をまとめてみました。

住まいづくりの進化と停滞 〜営業編〜


今回は設計/施工管理の観点から住まいづくりの進化と停滞をまとめてみたいと思います。

高まる耐震・断熱・品質基準

この20数年を振り返ると、多くのことが進化してきました。
大地震が繰り返されるたびに耐震基準が強化され、構造計算の偽造で社会問題にもなった通称「姉歯事件」をきっかけに瑕疵担保責任保険が生まれ、消費者保護が手厚くなりました。
また、2011年3月11日に発生した東日本大震災による福島原発事故は、日本人のエネルギー消費に対し大きな意識を持つきっかけを生み、2015年12月に採択されたパリ協定(COP21/国際気候変動枠組条約)が省エネに対する国策を生み出しました。

住宅においても、耐震基準以外で初めて省エネ基準が2020年より全て義務化される見通しが発表されています。

このように、徐々に進化の過程は確認することができますが、どれも災害や事件、国策によって無理やり!?進化してきた感じは何とも複雑な想いです。本来は業界そのものが成熟されていく過程で進化していくべきだと思うのですがいかがでしょうか?

設計の進化

設計の分野についても大きな変化、進化が感じられます。
およそ20年前、ハウスメーカ―や、建売業者、地場の工務店が家づくりの主役だった時代は量産型、規格型のデザインが主流で施工側のイデオロギーで間取りやデザインが決まっていたように思います。
ところがインターネットの普及の波に乗って、設計事務所や建築家が表に出る機会が増えるに伴い、自由や個性、今までのデザインにとらわれない全く新しい世界観が急速に流行り今は設計側のイデオロギーで家づくりが進んでいると言っても過言ではない時代になりました。
ただし、これは進化と言えるのかはまた別の議論が必要かと思いますが・・・。

家づくりのパーツ

建材、資材という家づくりのパーツも驚くほど増えました。
外壁材や屋根材に代表される外装パーツや、床材や建具、住宅設備機器などに代表される内装パーツなどは、一体どれほどの選択肢があるのか、私ですら全容を把握することが困難なくらい世の中に溢れかえっています。
施主様にとって選択肢が増えたという状況は、進化と評していいのではと考える次第です。

停滞する耐久性能

一方で、建物の耐久性という視点で技術的な進化を評価してみると、これに関しては停滞していると言わざを得ないと思います。
建物の耐久性能に関しては、その重要性は理解されているものの、かなりお座なりにされてきた感があります。

その理由を施工側の視点で解説すると下記のようにまとめられると思います。

1・耐久性能を計算で評価することが難しい。
2・経年劣化と耐久性能不備の判断が曖昧だったり、難しかったりする。
3・メンテナンスサイクルと耐久性能との因果関係が不明確である。
4・耐久性能を左右する大きな要因として「結露」が挙げられるが、目に見えない結露に対する対策が難しい。
5・検査機関による検査項目に実質該当していないため現場実務者の認識が甘い。
6・耐震性や断熱性に比べ、施主の関心が低い。

以上のような理由が挙げられます。

この件については、設計側、施工側とも深く反省しないといけないことです。
お互いの都合を優先させてきた為に、非常に重要な課題の進化を停滞させてしまったからです。

設計事務所や建築家の台頭がもたらしたもの

ここ数年の設計事務所や建築家の台頭により、非常にスタイリッシュなデザイン住宅が増えました。同時にそのような建築デザインをのぞむ顧客も増え、その期待に応えるべく、デザイン競争も激しさを増しているような風潮にあります。
また設計事務所や建築家の台頭は施工側との明確な主従関係も生み出し、ますます建築業界を席巻する勢いをつけてきています。特に都市部ではその傾向が強くなってきているのではないでしょうか。
これも時代の流れですが、この状況にも耐久性能の盲点があるように感じています。

デザインと耐久性能は非常に相性が悪いことをご存じでしょうか?

おそらく施工側の実務者はよく理解されていると思います。しかし設計側の実務者で理解に乏しい方は決して少なくありません。
デザインありきの設計計画は明らかに建物の劣化を早めます。

では耐久性能を担保する施工方法とはどのようなことなのでしょうか?

建物の耐久性を高めるために

結露対策として

1・屋根の通気 / 小屋裏空間の通気、換気計画
2・外壁の通気計画
3・壁内部結露を防止するための部材選定、気密計画

雨水対策(雨漏り対策として)

1・屋根の軒の出計画
2・瑕疵担保責任保険の設計・施工基準の遵守

紫外線対策として

1・方位と外壁の素材との関係

これらの施工計画は全て設計計画に連動しています。
実はデザインと耐久性能は相反する性格を持ち合わせているため、設計側と施工側に主従関係が構築されてしまうと、大抵の場合デザインが優先されてしまうのです。

耐久性能を進化させるために

その昔は残念ながら施工レベルに乏しい工務店が多く存在しており、設計事務所はそんな工務店を施主に変わって監視することも仕事でした。
そして今は受注の頭に設計事務所が立ち、施工側との主従関係が構築されてしまっています。家づくりは設計だけでも完結できませんし施工だけでも完結しません。双方の存在が必要です。その存在を双方が尊重
し対等な力関係で共に手を組んで家づくりを遂行していく意識があれば、この業界の停滞しているいくつかの問題は解決されていくのではないかと考えています。

「なぜこのような話の展開になるのか?、なぜこのような話の展開が必要なのか?」

住宅業界に根付く「闇」の部分にあえて光を当てることが、この業界が、家づくりの本質が正当に進化していくきっかけになると考えるからです。

前回と今回は非常に分かりづらい内容でまとまってしまったかもしれません。
しかし自分なりの言葉で書き留めることによって自分自身の考えも整理され、率直に問題点に向き合う機会を得られるのも事実です。

ということで、自分のために書いたブログになってしまいましたが、もし最後まで読んでくれた方、ホントにごめんなさい。
そしてありがとうございます!