代表の鈴木です。
最近の住宅業界は高気密、高断熱一色ですね!
何故こんなに盛り上がっているのかといえば、国の政策によるところも大きいのだと思います。
世界的に地球温暖化対策が急務となり、国も一次エネルギーの消費量を抑えるべく、住宅業界においても様々な優遇処置を講じて、省エネ住宅の普及を強く推進しています。
住宅の省エネルギー化はCO2削減に寄与するだけでなく、光熱費の削減という住む方の経済的なメリットも実現させますし、さらに住む方の健康にも大きな影響を与えるとして、2重3重のメリットがあることを知れば盛り上がらない理由は見当たりません。
難しくない!?【高気密、高断熱】住宅の施工
建物の高気密、高断熱化はまともな工務店であれば、特に難しい問題ではありません。
● 断熱材の選定や厚みの計算。 ● 窓(サッシ)の選定。 ● 気密工事の配慮。 ● 日射取得や日射遮蔽の設計計画。 ● UA値や、Q値、暖冷房負荷の計算による検討。 ● 現場ごとのC値測定。 ● 換気計画の選定。
以上の項目を意識して、対策を講じていけば簡単に高気密、高断熱住宅は実現できます。
何も特別な技量は必要ありませんが、常に知識のアップデートと、貪欲な探究心は必要です。
換気システムの選定が悩ましい!?
高気密、高断熱を突き詰めていくと、最後に選定で迷うのが、換気システムです。
ここでいう換気システムは24時間換気システムの事で、第1種換気システム、第2種換気システム、第3種換システムのいずれかを計画することが法律で義務付けられています。
世の中の主流は第3種換気システムで、コストも非常に安く計画できます。
しかし最近の高気密、高断熱住宅では、第1種換気システムが最適と理解されています。
第1種換気システムのメリットとデメリット
第1種換気システムの最大のメリットは、給気と排気の両方を機械制御する事で、換気効率を高めることができることと、熱交換機能を付加することで、熱損失を最小化し湿度管理も最適化できるところです。
高気密、高断熱住宅は、冬場は特に過乾燥になる傾向があるので、湿度環境が補える第1種換気システムの採用が最適解と言われている訳です。
ただし第1種換気システムは、設計計画上の不具合も多々あることと、長期で見た時のダクト内の衛生面や、何よりも価格が非常に高くつくところが、採用にあたってネックになることがあるのです。
なぜ第1種換気システムは採用しづらいのか!?
弊社も自社の設計施工物件においては、早くから高気密、高断熱住宅を手掛けておりますが、正直第1種換気システムの採用はそれほど多くありません。
その理由を述べていきたいと思います。
1・設計計画上の理由
第1種換気システムは基本的にダクトで各部屋に給気を送り込みます。
このダクトがクセモノで、ダクト空間を確保することがなかなか難しい現状があります。
弊社が得意としている、開放的な大空間設計の建物には大きな梁成(梁の高さ)の計画が不可欠で、その下にダクト空間を確保するとなると、天井裏の空間をそれなりに確保しなければなりません。
必然的に1階の天井高に影響を及ぼします。
特に私共の商圏である東京、埼玉の都心部は厳しい法規制によって、建物の全体の高さを闇雲にあげることはできませんので、ギリギリの設計になることが多く、最低限快適と感じられる居室の天井高さを確保することを優先させるとデットスペースである天井裏はどうしても最小寸法で計画する必要があります。
ただ、この件に関しては、ダクトレスの第1種換気システムが出てきたことで、解決されつつありますが、性能面や選べる機種の豊富さはまだまだダクト式に分があります。
2・システムの価格が高い
第1換気システムは、機械だけでなくダクト施工が必要です。
延床面積で30坪から40坪くらいの平均的な一戸建て住宅では材工で最低でも50万前後かかります。
これが第3種換気システムだと、1~2万で済みますので、この差は大きいですよね。
3・メンテナンスが難しい
機械ですから定期的なメンテナンスや交換は必ず必要です。
機械だけの価格をくらべると、第1換気システムの本体は10万以上しますが、第3種換気システムの本体は通常の換気扇なので、一つ数千円です。
また、ダクトのメンテナンスについてはほぼ不可能なので、長期的な視点で考えると、ダクト内の汚れが気になります。
機械の稼動を止めてしまうとダクト内にカビが生えると言われてますので、常にシステムを稼動させて、空気を動かしていなければなりません。
24時間換気なので、建前上は一生稼働していることになるのですが、実際は…ですよね!
4・そもそも日本人の生活習慣に合ってない!?
実際に私共が見てきた多くのご入居者様の生活スタイルを観察してみると、やっぱり日本人は窓を開ける生活が好きです。
あくまでも私共が商圏としている東京や埼玉南部、断熱地域区分でいうと「5地域」や「6地域」での話ですが、よっぽど暑い夏場やよっぽど寒い冬場を除いて、積極的に窓を開ける生活をされている方が多いです。
風や機械に頼る換気ではなく、窓を開ける換気が好きなんだと思います。
第1換気システムは完全に窓を閉め切った環境で初めて性能が生かされるので、なかなか日本人の生活習慣には馴染まない気がします。
以上が私共が積極的に第1換気システムをお勧めしていない理由です。
ただ机上の計算では、第1換気システムの方が第3換気システムと比べてそこそこ良い性能値が出ますので、私共としては、とことん性能値にこだわるお施主様であれば、【ダクトレス式の第1換気システム】をお勧めしているのが現象です。
価格もダクト式に比べれば少し抑えられます。
まとめ
本日は【第1換気システムは必要か!?】というタイトルで書いてきましたが、私自身の答えとしては、断熱地域区分で「5地域」、「6地域」のエリアであれば、自分たちの生活習慣に合わせて選択されたらいいということです。
寒冷地と言われるエリアであれば、価格が40~50万高くても第1種換気システムを採用するメリットが大きいのかもしれませんが…。
私なら断熱地域区分で「5地域」、「6地域」であれば、第3種換気システムで十分かな!?と思います。
第1種換気システム採用コストの40~50万はそのまま節約するか、他のことにお金使うと思います。
他のことととは何か!?
私ならエアコンのグレードを上げます!
それでも充分お釣りがきますので。
それではまた!
2020.02.18
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