【住宅の断熱性能の最低基準の義務化が白紙撤回!?】

代表の鈴木です。

昨日は東京でも初雪を観測しましたね。
ちょうど私は大田区田園調布の土地に現調で訪れてましたが、一瞬かなり強目に降り出したので「これは積もるのか!?」と焦りましたが、すぐに止んでくれたのでホッとしました。

さて、年末から年始にかけて、ちょっと驚きのニュースを耳にしました。
今日はその話です。

2020年、住宅の断熱性能の最低基準の義務化が見送りに!

2012年以降、2020年までに「新築住宅は段階的に省エネルギー基準への適合を義務化する」という方針が打ち出され、業界の誰もが2020年に義務化が法律で決まるもんだと思っていましたが、ここへきてどうやら見送られるようだという情報が入ってきました。

省エネルギー基準とは

そもそも「省エネルギー基準」とは何かという話ですが、初めて「省エネルギー基準」が制定されたのは1980年に遡ります。
当時は1970年代の石油危機による深刻な社会経済の影響に端を発し、1979年に「エネルギーの使用の合理化に関する法律 → 【省エネ法】が制定・施行されたのがきっかけです。
最初に制定された「省エネルギー基準」は通称【旧省エネ基準(昭和55年基準)】と呼ばれ、その後、何回か改正されながら今日に至っております。
その変革の歴史(約40年)を大まかにまとめると以下のようになります。

省エネルギー基準の歴史

1980年(昭和55年)
旧省エネ基準(昭和55年基準)
1992年(平成04年)
新省エネ基準(平成4年基準)
1999年(平成11年)
次世代省エネ基準(平成11年基準)
2013年(平成25年)
平成25年省エネルギー基準(平成25年基準)
2016年(平成28年)
平成28年省エネルギー基準(平成28年基準)

世界的な石油危機から端を発した省エネ基準は、その後大義名分が地球温暖化対策に代わり、東日本大震災で注目を浴びたエネルギー問題、そして2015年のパリ協定(COP21/国連気候変動枠組条約)などを経て改正が繰り返されてきました。

省エネ基準の物差しとは

ここで、「それぞれの省エネ基準はどのいう内容なの!?」という疑問に答えていきたいと思います。
2000年(平成12年)に「住宅の品質確保の促進等に関する法律」通称【品確法】が施行されました。この法律において「住宅性能表示制度」が盛り込まれ、今まで曖昧であった住宅の品質部分の基準を整備し、性能を数値で表現できるようになりました。
この住宅表示制度の評価項目は全部で10項目ありますが、その中に【温熱環境に関すること(温熱環境・省エネルギーに関すること)】があり、建物の省エネ基準(断熱等性能等級)が4つのレベルで表現できるようになっています。
等級1〜等級4の評価基準で、皆様もよく耳にするかと思います。
そこではこのように位置付けられています。

各省エネ基準と、断熱等性能等級の関係

1980年(昭和55年基準)レベル 等級2
1992年(平成04年基準)レベル 等級3
1999年(平成11年基準)レベル 等級4
2013年(平成25年基準)レベル 等級4
2016年(平成28年基準)レベル 等級4
*(等級1は、昭和55年基準以前のレベル)

省エネ基準(断熱等性能等級)の等級は、身近なところですと下記の制度などでよく目にします。

フラット35                                   等級2以上
フラット35S 金利Bプラン      等級4以上
長期優良住宅                等級4以上

等級4は最高等級!と見えますが、現行の等級4の断熱性能は1999年に改正された「平成11年基準(次世代省エネ基準)」と同じです。
なんと今から20年も前の基準です。そしてその基準は、国がその時の時勢に合わせた【最低限の基準】であることに気づいている人は多くはいません。
さらにそのレベルさえ採用するかしないかは選択可能(義務化ではない)となっています。

話は元に戻りますが、2020年に予定されていた「省エネルギー基準の義務化」は「平成25年基準」の義務化であったわけですが、断熱性能としては20年前の基準です。その義務化がどうやら見送られるとは「もう20年前の基準ですら満たしていない建物(住宅)を建てても全く問題ないですよ!」と国が認めているようなものです。
ではなぜ見送りになるのでしょうか?
住宅に住む人の健康や、エネルギー消費の低減、地球環境など考えれば、世界的な情勢を踏まえても義務化して当然だと思うのですが。
簡単にまとめると以下の理由のようです。

見捨てられた建築主、省エネ、地球環境!?

省エネ基準の義務化によってコストUPになるしわ寄せが建築主にきて、消費税の増税とも重なり経済の冷え込みが予想されること。
また、申請業務を担う事業者やそれを審査する審査側の体制が整わない現状や、20年前の省エネ基準すらよく知らない事業者(住宅供給者)がまだ多くいる現状が考慮されたこと。
ようは市場の混乱を避けたいという国の思惑だと感じます。と同時に、国はなんて事業者(住宅供給側)に優しいんだろう!?と思ってしまいます。
建築主よりも、エネルギー消費よりも、地球環境よりも事業者優先の選択をしたわけです。
このニュース、ローコスト住宅を得意としているパワービルダーや建売業者はホッとしているはずです。余計な申請や現場のコストUPが避けられるわけですから。

意識の高い工務店の存在

その一方、一部意識の高いハウスメーカーや工務店たちは、もう何年も前から2020年に予定されていた義務化基準をはるかに上回る断熱性能を実現させています。
省エネに関する基準は、断熱等性能等級で表現されるだけではありません。
はるかに上をいく、ZEH(ゼッチ)基準やHEAT(ヒート)20のG1グレード、またさらに上回る性能を持ったHEAT20のG2グレードがあります。
なぜ、一部の事業者(住宅供給者)はコストUPを承知で次世代省エネ基準以上の断熱性能を提供することにこだわるのでしょうか?
ただの断熱マニアなんでしょうか?笑

HEAT20 G1/G2グレードで満たされるものは数多い!

私はもうこの業界で25年以上、注文住宅ばかり数百棟の建物を完成、お引き渡ししてきました。
正直、次世代省エネ基準の等級4の仕様で建てた住宅は、「冬は寒く!、夏は暑い!」んです。このことを体感的に知っています。
HEAT20のG1、G2グレードで建てた住宅とは雲泥の差です。住む方々も一様にその快適性を口にします。
快適性だけではありません。光熱費もびっくりするくらい下がりますし、家中の温度差が少なくなることで住む方の健康にも直結します。例えばヒートショックによる脳卒中や心筋梗塞のリスク回避にもなりますし、夜は安眠できるようになります。また長年苦しんできた喘息やアトピー性皮膚炎が改善されたという話も聞きます。人間だけでなく、ペットのワンちゃんの具合も良くなったという話もあるんです。
高められた断熱性能は永久に劣化することなく、メンテナンスフリーです。住宅のコストバランスの中でこれだけ費用対効果が高い設備や仕様は他にありません。
だからこのメリットを知っている事業者はお客様に自信を持って勧めるのです。

まとめ

今はおよそ20年前の断熱性能基準に最高等級の4が与えられ、いまだにこの業界の指標になっています。
「国が決めている基準だから!」
「最高等級だから!」
「フラット35の技術仕様だから!」
「長期優良住宅だから!」
と、自信満々に話をする事業者はたくさん存在してます。

もう騙されるのはやめましょうよ!
そして本当の意味ある省エネ性能を実現させましょうよ。

合言葉はHEAT20 G1/G2グレードです。

それではまた。

2019.01.13

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