コストダウン|中間マージンのカットで実現可能か?

新年明けましておめでとうございます!

代表の鈴木です。

2020年最初のブログは建築のコストに関連したお話です。

皆さんが一番興味のある話だと思います。

以前のブログでも、「注文住宅のコストダウンの方法を解説」や、「注文住宅の価格について解説」というタイトルで価格に関連した内容を記事にしていますが、今日は【コストダウン|中間マージンのカットで実現可能か?】というテーマで書いていきたいと思います。

コストダウン|中間マージンのカットで実現可能か?

コストダウンの画像

 

建設会社の広告を見ていると、「中間マージンを徹底的に排除してコストダウンを実現!」と声高らかに宣伝しているのをよく目に耳にすると思います。

「ごもっとも!」と皆さん思いますよね!

実は、多くの建設会社は中間マージンをカットしてもコストダウンには繋がらないと言う事実をお伝えしたいと思います。

中間マージンのカットはコストダウンに繋がらない

ここで、建築における商流の流れを整理しておきたいと思います。

「① 建材メーカー」→「②大手商社」→「③ 販売店」→「④ 建設会社」→「⑤ お客様」

規模の大きな販売店では、商社の役割も兼ねているケース「②=③」もありますが、このような流れが一番多いパターンかと思います。

建設会社が中間マージンをカットするとは、商社や販売店を介さずにメーカーから直接仕入れることを言います。

商社も販売店も商売ですから、利益を計上して物が流れていきますので、当然商流が絡めば絡むほど末端のお客様から見れば余計なコストがかかっているように見えますよね。

では、メーカーが設定している定価(上代)を100として、どのような掛け率で物が流れていくのか見てみましょう。

下記の例はあくまでも説明用の一例です。

【メーカー直接仕入れの場合】 

メーカーの定価100→建設会社60(掛け率60%)

 

【商社や販売店経由の場合】 

メーカーの定価100→商社30→販売店40→建設会社50(掛け率50%)

 

いかがですか!

実は商流が多い方が最終的に安く仕入れができていることがおわかりになると思います。

全てとは言いませんが、このようなことが一般的におこっているのが建設業界です。

 

これにはいくつか理由があると思います。

商流が多くても安く仕入れられる理由とは

 

まず、そもそも建材メーカーはなぜ商社を通し、商社はなぜ販売店を通すのかと言う話です。

そもそも商社とか販売店とかって何でしょうか⁉︎

商社とは

商社は、あらゆる建材メーカーから大量に安く商品を購入し、在庫をかかえます。

販売店とは

販売店は、販売店にとってのお客様である建設会社から注文をもらって、その都度商社に注文する構図になっており、基本的に在庫をかかえません。

メーカーとは

ついでにメーカーとは、自社で商品を企画、開発して自社の工場で製品を作る会社です。

ならば、「直接メーカーから購入した方がややこしくないでしょ!」と考えるのが普通ですね!

しかしこれは顧客目線で見た場合に感じることです。

逆にメーカー側の視点に立つとそうもいかない現実があります。

メーカーにとって商社や販売店は切っても切れない関係

メーカーにとっての最終的なお客様は建設会社になりますが、大小合わせて日本に建設会社は数万社存在します。

その中で、年間に億単位で発注する会社もあれば、数千円しか発注しない会社もあります。

また注文方法も、メールで注文する会社もあれば、電話やFAXで注文する会社もあります。

納入先である現場も全国津々浦々存在しています。

支払い方法も現金や手形、支払いサイトも会社ごとにバラバラなのが建築業界です。

これらを個別にメーカーの人員が対応することはほぼ不可能なんです。

そこで、建材メーカーは直接的な販売先を絞ることになります。

それが商社であり、販売店という存在です。

販売店は建築業界の中で特に大事な存在

特に販売店は、建設会社にとってはとても貴重な存在となっています。

商品知識は下手なメーカーの営業マンを凌駕し、建設会社に直接メーカーの商品を売り込むのは販売店の役目となっています。

現場のわがままな要求にもとことん応え、建設会社の事務所や現場にも足を運び、縦横無尽に動きまわります。

また、建設会社ごとの支払いサイトにも柔軟に対応しています。

メーカーが到底やりきれないことを代行している存在が販売店なのです。

販売店がたくさん売れば(注文すれば)、商社はメーカーにたくさん発注し、在庫を置くことになります。

このように、メーカーにとっては、商社や販売店は切っても切れない存在となっているのです。

しかしながら、商流を通ることで価格が高くなれば売れなくなりますよね。

そこでメーカーは、商社にはとても安く商品を下ろします。

商社や販売店の存在価値はそこにあり、この流れの構図が建築部材商流の普段の姿なのです。

以上の理由より、メーカーは建設会社に直接販売することは基本的にしません。

中間マージンをカットできる建設会社は?

では、「中間マージンをカットしてコストダウンを実現しています!」というのは嘘なのでしょうか⁉︎

実は嘘だとも言えない世界があります。

それは年間数千棟規模で建築をしているハウスメーカーや建売を中心に建築をしているパワービルダーと言われている会社です。

ただし、年間まとまった規模の発注の約束と発注建材の種類やグレードを絞ることが条件となることが多いです。

建材メーカーにとって大事なお客様とは?

ここでちょっと裏話ですが、年間数百、数千棟単位で発注が見込めるハウスメーカーや、パワービルダーは、建材メーカーにとってとても大切なお得意さんなのでしょうか?と言う話です。

それこそ建材メーカーにとっては多くの売上を支えてくれるお得意様なのですから、当然だと思うと思いますが、答えはNOなんです。

何故だかわかりますか⁉︎

建材メーカーにとって、それはとてもリスクがある取引だからです。

ハウスメーカーが永遠に自分のところの商品を標準設定品として使い続ける保障はどこにもありません。

長年使い続けていても、来年から別のメーカーの商品に一斉に切り替えるなんてことはザラです。

ですから、もし建材メーカーがそのハウスメーカーや、パワービルダーに多くの割合で売上高を依存していたら、大変なことになります。

そんなことは建材メーカーも百も承知なので、建材メーカーの多くは、年間数十棟規模の比較的小さな工務店や建設会社をとっても大事にしていて、その商流元である商社や販売店を大事にしているのです。

建材メーカーが率先して、中小の工務店がハウスメーカーやパワービルダーに負けないように様々な勉強会やノウハウ系のセミナーを中小規模の工務店向けに開催しているのもその表れだと思います。

 

ということで、「中間マージンをカットして・・・」なんて、中小の工務店や建設会社が声高らかに言うことは的を得ていないのです。

でも、そう言うことでイメージはいいですよね!

企業努力として顧客に伝わりますから。

コストダウンの真実とは

実際に中小の建設会社が行なっているコストダウンの方法は私が知る限り2つしかありません。

 

1・ 宣伝広告費をかけず、最小限の人員で固定費を抑え、さらに利益も削って運営している。(ある意味良心的に見えますね)


2・ シンプルな間取り、デザイン、仕様で家づくりをまとめ、さらに下請けを叩いて工事原価を抑えている。

 

自己を犠牲にするか、他を犠牲にするかのどちらかです。

本来はどちらもうまくいきません。

建主(お客様)にとっては、その会社の内情がどうであれ、安く建てられるならその方がいいと思うでしょう。

しかし、適正な利益、さらにはきちんと儲けが出ない会社は長く会社を継続していくことはできません。

また昨今の建築業界における人手(職人)不足は、過度な下請け叩きが影響し「職人は稼げない!」というイメージが強くはびこり、「自分の子供は職人にはさせない!」という現役の親世代の職人さんが非常に多いのも原因となっています。

この悪循環は、いずれ日本の建築、ものづくりの文化を衰退させるに違いないと危惧するところです。

将来、注文住宅を施工できる会社はほぼなくなり、外国人労働者が組み立てるようなプラモデル形式の規格住宅しか手に入らない時代になるかもしれないとさえ思う次第です。

少し話が逸れましたので元に戻しますね。

まとめ

中間マージンの原因となっている商社や販売店が、実は家づくりにおいては非常に大事な役割をもっており、メーカーにとってもありがたい存在で、大事にされていることが理解できたかと思います。

このように、建築の価格についての世界はブラックボックス化されており、「なぜその金額なのか?」が非常に分かりづらいのが現状かと思います。

これからも機会があれば、注文住宅の価格(コスト)について、記事にしていきたいと思います。

 

それではまた。

2020.01.10

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